株式会社ビオネスト

介護

異業種連携を通じて、「介護現場の発信力」を高めたい!

2022.12.13

異業種連携を通じて、「介護現場の発信力」を高めたい!
介護現場からの「ポジティブ情報発信」で、
若者の就職先の「最後の選択肢」から「最初の選択肢」へ!

 

■記事概要

「認知症グループホームの説明、凄く分かりやすかった!」

グループホーム笑楽北畠にボランティアとして来られた「あるグローバル企業経営者」の方からいただいた嬉しい言葉です。

ビオネストグループでは大阪市・大阪産業局様と連携して、「介護現場に新しい風を吹かせる」という想いに共感してくださった異業種の方との「ワークショップ」を開催しています。そのワークショップのプログラムの一環で、「ボランティア」として実際に介護現場で働いていただき、高齢者の方やスタッフとの触れ合っていただいております(注:出来うる、そして、考えうる最大の感染対策・感染予防をしております)

普段、介護の仕事の説明をする相手は、ある程度 介護業界の知識がある方がほとんどですが、ボランティアに来られる方は「介護の素人」の方がほとんど。そういった方に、どのような説明をすれば理解しやすいか、どういった資料があればよいか、ボランティアを受け入れる介護スタッフにとって「学び直し」の良い機会となりました。

また、ボランティアに来られる方のほとんどは「介護現場に新しい風を吹かせる」という「熱い想い」をお持ちの方ばかりです。沢山の質問を投げかけ、吸収しようとする姿勢は、入居者の方も、スタッフも「良い刺激」になっています。

「このボランティアでの経験を活かして、高齢者の方が過ごしやすい服を開発します!」と笑顔で、熱く語ってくれた経営者の方もいました。

「介護現場の声から、世の中に影響する新しい製品やサービスが誕生する」そういった「ステキな介護施設」をこれからもビオネスト笑楽は目指していきます。

 

■記事詳細

ここからは、グループホーム笑楽北畠の藤田管理者に今回の「ボランティア型フィールドワーク」についてインタビューした内容をご紹介させていただきます。

・インタビュアー:今回、「介護イノベーション共創ワークショップ」という大阪市・大阪産業局様との連携企画の一環で、異業種の方にフィールドワークを兼ねたボランティアとして参画いただきました。

藤田さんが管理者を務めておられるグループホーム笑楽北畠にも何名かの異業種の方が来られたと思いますが、印象深かった方はおられますか?

・藤田:私の施設には、異業種の経営者の方が3名と管理職の方が1名来られました。どなたも介護業界や介護の仕事のことは「素人」というようにお聴きしましたので、簡単な説明資料を作成して、説明差し上げました。普段接する介護の業界理解や仕事を理解している現場スタッフに説明することと違い、全く知らない方にどう説明すれば分かりやすいだろう?と普段とは違う教え方の工夫をしました

その説明に対して、グローバル企業の経営者Iさんから「藤田さんの説明は凄く分かりやすかった!」と褒めていただき、とても嬉しかったことを覚えています。またそのIさんは事業をグローバル展開していることもあり、外国人スタッフの扱いに慣れておられ、介護現場で働くベトナム、韓国などのスタッフともコミュニケーションをとり、施設にも「新鮮な風」を吹かせてくださいました。

また、別の経営者のNさんは高齢者向けの衣服を検討されているそうなのですが、「認知の方でも着やすい、こういった衣服を創りたい!」などの「想い」をたくさん語ってくださり、「私達が伝えたリクエストが本当に新しい衣類になるかも!」という希望を持つことが出来ました。

・インタビュアー:ありがとうございます。非常に忙しい経営者が介護現場にわざわざ足を運んで、「介護業界を理解したい!」と言ってくれるその姿は励みになりますよね!

次の質問です。今回、介護業界と異業種が「連携」することが一つのコンセプトですが、その「意義」について藤田さんはどう思いますか?

・藤田:介護福祉業界は全般的に「閉鎖的」だと思っています。施設の中の高齢者の方、施設の中のスタッフ、そして一部の関連事業者の方としか接点がありません。一般企業の方がどういった仕事をしているか、知る機会も少ないです。また、介護のイメージも良くないですし、それも接点が少ない原因なのかなと思います。

今回のように異業種の方が短期間でも介護現場に来られ、同じ制服を来て汗を流して働いていただく共通体験は、非常に良い取り組みだと思っています。何より「ニュースで見た」「人から聞いた」ではなく、自分の目で、耳で、そして肌で実状を掴んでいただけることが良いことだと思います。また、介護や福祉を知らない人が現場にいるだけで、「新しい風」が吹きます。

私は、20年この業界にいるので、様々な場で講演などをさせていただいたり、話す機会はあるのですが、そこで発信してもなかなか変わらない。というのが実際のところです。しかし、今回のように異業種の方が介護現場に学びに来る、そこで介護の現場を知ってもらう。そういった取り組みは「介護現場の発信力」を高めるキッカケになると思いました。

私は介護現場の発信力を上げるには、地域の人たちにオープンな施設になることが大事だと思っています。基本的に地域の人たちも「実際に介護が必要になったとき」にしか利用しないので、いざという時にしか興味を示してくれません。知る必要がある人しか知らない。知る必要がない時でも、介護に興味を持つ人を増やして行く。特に若い人に興味を持ってもらうために発信していくことが大事だと思っています。

・インタビュアー:ありがとうございます。「介護の発信力の弱さ」については、ビオネストグループの中でも「もっと発信力を高めていこう!」という動きがありますので、その通りだと思います。

では、次の質問です。異業種との連携で解決できたらよいなと思う「介護現場の課題」は何だと思いますか?

・藤田:介護現場の最大の悩みは「人材不足(注:会社として手厚い人員配置は行っております)」なのですが、私はその要因の一つに「介護現場の発信力の弱さ」があると思っています。介護現場の発信力の弱さが「介護の仕事に関する魅力ややりがい」というポジティブ情報を届けることが出来ていない。

今回のワークショップでは、発信力のある大企業の方や経営者の方も参加されているので、そういった発信力のある方とのコラボレーションを通じて、発信力の弱さを解決出来ればと思っています。

そして、結果的に「人材不足の解消」や「若い世代の介護職へのイメージ払しょく」につながればと思います。そのためには、「介護のネガティブイメージそのもの」を変える必要があります。その第一歩として、閉鎖的ではなく、「開放的な介護のイメージ転換」を仕掛ける必要があると思います。

また、若い世代の就職活動の選択肢において「最後の選択肢が介護」というのをやめさせたいです。確かにしんどい部分はありますが、人生の集大成となる最期の生活をサポートできる「誇りとやりがいがある仕事」です。その間違った思い込みを覆す発信がしたいです。

・インタビュアー:ありがとうございます。確かに「介護現場からの発信力強化」は課題だと思います。今回のワークショップの参加者の中には、発信力のある大企業や経営者の方が参加されておりましたので、そういった企業やリーダーと連携して、介護業界の発信力を高めていけると良いですよね。

では、最後の質問です。「介護現場に異業種の方がボランティアに来るメリット」は何だと思いますか?

・藤田:私が管理者を務めている「認知症グループホーム」は、デイサービスなどより「閉鎖的」な施設です。入居者の方とスタッフ、そしてわずかな外部の方ぐらいです。そういった閉鎖的な施設に異業種の方が来られたことで、入居者の方も、スタッフも非常によい刺激になったと思います。今回、ボランティアに来られた方は、介護現場にわざわざ学びに来られる「熱い想い」のある方ばかりなので、スタッフも普段よりも心なしか「ピリッ」「シャキッ」としているように感じました。

そして、今回 私からお願いしてボランティアに来られた方から「この施設の良かった点」「ここを改善すればさらに良くなる点」をアドバイスいただきました。

閉鎖的な施設にいるとそれが「当たり前」になってしまい、どんどん「一般的な感覚」からズレてしまう危険があるためです。施設が「一般的」なのではなく、施設の外が「一般的」であることを忘れないために、沢山アドバイスをいただきました。

また、入居者の方も「いつものスタッフ」と違った人がいることで「良い刺激」になったようです。いつものスタッフと話していると「いつもと同じ話」になりがちですが、異業種の方の視点や話題は新鮮で、普段の施設では話題にならないようなことで話がはずみました。

閉鎖的な介護施設において、介護スタッフにとっても、ご入居者にとっても「良い刺激」と「新鮮な話題」が提供でき、施設のサービス品質向上にもつながると感じました。

・インタビュアー:なるほど。外部の目が、外部の話題が「介護施設の閉鎖性」という課題解決に一役を担ったわけですね。インタビューは以上になります。施設運営で大変お忙しいところ、お時間いただきありがとうございました。