「認知症の人が幸せに暮らせる地域にしたい!」
2023年4月28日。グループホーム笑楽北畠管理者の藤田が「キャラバン・メイト」として、阿倍野区社会福祉協議会主催「認知症サポーター養成講座」に講師として登壇いたしました。
※キャラバン・メイトとは、「認知症サポーター養成講座」の講師として、地域の方々に認知症の正しい知識と理解を促し、認知症の方が住み慣れた場所で安心して過ごすための普及活動をする人のことです。誰もがなれる訳ではなく、キャラバン・メイト養成講座の受講などの条件があります。この養成講座を修了したキャラバンメイトが講師を務める「認知症サポーター養成講座」を受講した方は認知症サポーター認定され、「サポーターカード」が付与されます。
コロナ禍がやっと収束傾向に入り、久しぶりの集合形式で実施された「認知症サポーター養成講座」には、一般の方14名、介護事業者の方5名、地域包括支援センターやオレンジチームの方12名、合計31名の方が参加されました。半分が「一般の方」ということで、「認知症の理解を深めたい」という意識の高さがうかがえました。
ビオネスト笑楽では、介護事業に携わる「専門性」や「豊富なケア経験」を地域に還元し、高齢者の方が住みよい地域を創っていくための活動をこれからも推進していきたいと思っています。
■インタビュー
ここからは、認知症キャラバン・メイトとして、「認知症サポーター養成講座」の講師を務めているグループホーム北畠 管理者の藤田のインタビューをご紹介します。
・インタビュアー:今日は、お忙しいところインタビューのお時間をいただき、ありがとうございます。また、先日の認知症サポーター養成講座の講師登壇、お疲れ様でした。認知症高齢者の増大については、社会課題の一つとして国や自治体も様々な取り組みを促進しており、「認知症キャラバン・メイト」もその一環だと認識しています。藤田さんが、この「認知症キャラバン・メイト」に参画しようとしたキッカケは何でしょうか?
・藤田:私には「認知症の人が幸せに暮らせる地域にしたい」という想いがあり、その想いから今 自分が何をすべきかを考えています。これから先、介護業界が良くなれば、認知症の方も幸せに暮らせる地域につながると思っており、異業種連携などの様々な取り組みにも積極的に参画しているのもその理由からです。高齢化には様々な問題が絡んでいますが、その一つである「認知症」については「正しい理解がされていない」「誤解されている」と感じることが多々あります。認知症になったから、「はい、施設に入ってね」ではなく、施設への入所は最終手段です。高齢者の方の願いは「いつまでも住み慣れた家で過ごしたい」ということなので、地域の方の理解が深まれば、もっと長く家で過ごすことが可能になります。
ビオネスト笑楽ではデイサービス(通所介護)を多数運営していますが、この施設も高齢者の方が、出来るだけ住み慣れた地域で過ごすことを応援するという同じ目的を持っています。
今回のキャラバン・メイトへの参画も、この想いを起点にして、「今 自分ができることは何か」を考えて行動しました。
・インタビュアー:素晴らしいですね。ビオネストグループでは「なりたい自分に」をコーポレートスローガンに掲げていますが、まさにこの活動は藤田さんの「認知症の人が幸せに暮らせる地域にしたい」という想いに裏付けれた「なりたい自分」と高齢者の「いつまでも住み慣れた家で過ごしたい」という想いに裏付けられた「なりたい自分」の両面を実現する非常に分かりやすい事例ですね。ちなみに、認知症キャラバン・メイトにはどうすればなれるのでしょうか?
・藤田:認知症キャラバン・メイトの大元は厚生労働省です。認知症キャラバン・メイトは、地域の方々に認知症の正しい知識と理解を促す役割をもっているため誰でもなれる訳ではなく、「キャラバン・メイト養成講座」の修了が必要になります。私は大阪市の講座を申し込んだのですが、狭き門だったのですが、運よくなることができました。私は大阪市阿部区でキャラバン・メイト登録しているのですが、50名ぐらい登録されていると聴いています。介護事業者の方もいれば、地域コーディネーターの方、社協の方、地域包括の方が登録されています。
・インタビュアー:なるほど。ちなみに、認知症キャラバン・メイトの活動としてはどういったことをされるのでしょうか?
藤田:①認知症の正しい知識と理解をもった認知症サポーターを地域に増やすこと(認知症サポーター養成講座での登壇)、②認知症の啓発活動(映画上映会の開催など)、③地域の声掛け訓練(認知症の方にどういった声かけをするかの訓練)などをしています。キャラバン・メイトとしての講師活動も、区役所だけでなく、銀行員向けや小学校向けなど幅広い場所で行います。
・インタビュアー:養成講座での登壇だけでなく、「声かけ訓練」などもされるのですね。確かに、認知症っぽいなと思っても、どういった声かけをすればよいか。知らないと いざと言う時に声掛けできないですものね。ちなみに、メイン活動である「認知症サポーター養成講座」はどういった内容なのでしょうか?
・藤田:大阪市から発行されているテキストがあり、基本的にはその内容を講義します。ただ、私の場合は、自分なりの表現で出来るだけ自分らしく、分かりやすく伝えたいという想いがあり、オリジナルのパワーポイント資料を使って、講義を行いました。カリキュラムは、1.5時間で、私はそのうちの60分を担当しました。残りの30分は社協や包括の方が、啓発活動を行いました。
・インタビュアー:ありがとうございます。良く分かりました。では、最後に「今後こういった取り組みをしたい」というチャレンジ目標があれば教えてください。
・藤田:そうですね。やっとコロナ禍も収束に向かい、集合形式でも実施しやすくなってくると思うので、「認知症サポーター養成講座」で沢山登壇して、地域の方々に認知症の正しい知識と理解を促す活動をしていきたいです。また、コロナ禍で休止傾向にあった「認知症カフェ」も再開し、地域に介護の現場で働く者だからこそ伝えられるメッセージを届けていきたいです。特に、「認知症に関する誤解」を正していくことも私のミッションの一つだと思っています。認知症だから「何も分からない。感情もない。人間ではない。なったら終わり。」といった誤解を感じることがありますが、「そうではない」ということ。今回の養成講座でも、参加者の方からたくさんの質問をいただきました。
「認知症の人かどうかわかりづらい。声掛けたら、怒られるのでは?」
「地域で困っている人がいたら、どうしたらいいか?どうつなげたらいいか?」
「自分の状況がこうなんだけど、大丈夫かな?」
「認知症を正しく理解したい」という意識が高い方がこの講座をキッカケに増えていけば嬉しいです。また、ご家族や身近な方が「認知症かな?」と思い悩むことがあれば、1人で悩まずに専門家に相談されることをおすすめいたします。正しい知識と理解があることで、多くの不安を解消することが思っています。
・インタビュアー:藤田さんの「なりたい自分」を軸に様々な想いを語っていただき、ありがとうございました。インタビューは以上になります。お時間ありがとうございました。